きれいないろ


遙か遠くなのに、
視界いっぱいじゃ収まらない。

ぼんやりと溶け合う、
馬鹿デカい水と空気の境目。

あれ、もしかしてマルコは端まで見えてんのかな。
鳥って、横どこまで見えんだろう。

同じ景色が知りたくてきょろきょろしてみるけど、
どれが同じ景色かわかんねェや。

上も見上げてみる。
ふわりと白い雲は、ちょっと近付いてみると真っ白じゃない。
彼処にも、輝くような空の水色…、緑がかった薄い青の影。

その先の空も、真下の海も、
よっくみればぜんぜん1色じゃない。

きれーだな。


でも

一番きれいなのは、
沢山の あお の中、
全部を飲み込みそうな 蒼。

おれを乗せて、つつむ 蒼。

もしかしたらこの蒼が、
周りの全部に色を分けてやってんじゃないだろうか。


あれ、もしかしてマルコこれ見えて無かったりすんのかな。
鳥って、色どこまで解んだろう。


けど、元は人だし。
そーゆーのは変わんないかもしんないし。
ってか本物の鳥がどーなのか知らないし。
聞いてみよーかな。
馬鹿にしてるとか思われっかな。

けど、もし…
自分が鳥のときこんなにきれいだって、
知らなかったらもったいねェな。



「マルコ、
あんたな、すっげェきれいだぜ」



応えも振り向きもしなかった蒼い鳥は、
周りがオレンジに変わる場所まで、
おれを乗せて水面に影を滑らせた。




<end>




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